28.大きな支え
遠くで誰かに呼ばれている。――また、この夢だ。
呼ぶ声に耳をすませば、やっぱりそれは姉ちゃんの声ではなかった。いや、家族のうちの誰でもない。
でも、知っている声だ。
「……リディアーヌ! リディアーヌなんだろ!?」
無意識に伸ばした手が何かに触れ、俺は思い切りそれを掴んだ。
そして、太くてごつごつしたそれを、手離さないよう強く――、
……え? 太くてごつごつ……?
「おはよう、咲良」
腹に響くような低音が眠りを妨げる。目を開くと、予想もしなかった顔が目の前にあって、眠気が一気に吹っ飛んだ。
「父さん!?」